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国語力の大切さ

 各教室の紹介の前に、国語の指導について話をします。国語は中々伸ばしにくい科目です。本格的に取り組む塾も少なく、漢字と語句の練習でお茶を濁すところも多いと思います。しかし、国語は5科目の要です。漢字も語句も大切ですが、やはり日本語で考え・日本語で判断し・日本語で表現する力、つまり国語の思考力・読解力・表現力はもっと大切です。特に小学校4年生から6年生にかけての高学年での国語の学習は、その後の中学校・高校生活において更には大学での学習・研究にも大きく影響して、もう一歩深く物事を考えることのできる大人に成長できるとともに、他人の意見にも耳を傾ける態度も養えるようになる出発点だと考えています。ですから、私の教室では『国語の指導』に力を入れているのです。
 小学生高学年の国語教室では、育伸社の『ほ~ぷ』を教材にしています。記号で答える問題は1問もなく、すべて記述問題です。本文で使用されている問題自体はそう難しいものではありませんが、授業が始まるまでに生徒諸君には自由に設問の答えを黒板に書かせておき、それを題材に大学院のゼミ形式で学習を進めます。意見を出し合い・検討し合い・どうしてその答えが導かれ・それが妥当なのか。自分の考えと他の子の考えとはどこが違うのか・どうして違ったのか。少人数だからできることですが、小学生としては非常に中身の濃いレベルの高い学習の時間だと自負しています。
 中学生の国語教室では、朝日新聞社が出しています『今解き教室』をテキストにして、現代の社会が抱えている問題を議論し合い、考え、作文にまとめていきます。過去になかった素晴らしい教材です。(『教室だより』第126号で今解き教室について触れています)朝日新聞今解き教室のホームページによれば、大阪の個人塾でこれを教材にしているのは私の教室だけだということです。入試における小論文対策ばかりでなく、将来ディベートやプレゼンテーションの折に、自己主張の視点の養成につながるだろうと思っています。最近では中学校や高等学校の国語の先生方が、私の教室の授業に興味を持たれ、参観に来られているくらいです。
 その他に、授業という形ではありませんが、大学受験・高校受験・中学受験の各受験生諸君には『連絡ノート』を2冊ずつ持たせています。1日の学習した科目と学習内容を記録し、感想文を書いてもらっています。一週間ごとにノートを交換し、私がコメントを書いてまた一週間後に返却します。毎日感想文を書くことによって、考える力や観察する力更には表現する力が1年後にはついているのです。毎日書くことがやはり国語力養成には大切なことなのです。
 最近では、中学生の授業の最初10分から15分を漢詩漢文の朗唱に当てています。難しい文法などはしないで、とにかく声に出して何度も読みます。自然と暗唱の域に達することで漢詩文を身につけることが出来、そのことが母語の語彙獲得につながると考えているからです。母語が育たないうちにいくら英語を勉強しても身にはつきません。日本語の半分は漢語です。高校生になった時に漢文の授業にも役に立つでしょうが、むしろ社会に出た時に豊かな教養として身についていることを喜んでもらえるときがあるのではないかと思っています。
 国語の指導を続けていることで気付かされることは、子供たちが反抗期を迎えた場合でも、簡単に『キレる』ことはなく、多くの子が自分自身に目を向ける心のゆとりを見失うことがないように思います。それだけ考える力が身についているからでしょう。目先の成績も大切ですが、遠い将来のことも念頭に置いた指導を心掛けています。
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