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授業参観

「須原英数教室を訪問させていただいて」

大阪教育大学の加賀田哲也教授に教室訪問していただきました(2011.12.27)

 
須原先生とは、ほぼ1年半前にある英語研究会で知り合って以来、先生の教育観にはずっと関心を持っておりました。そこで、昨年末に思い切って、お電話で須原先生の教室を訪れたいという私の一方的な思いをお伝えしたところ、即ご快諾して下さいました。須原先生とは数時間ご一緒しただけですが、実にたくさんのことを学ばせていただきました。また、教育者としての私のこれまでの営みがいかに稚拙で皮相的なものであったかを悟る瞬間でもありました。
その日は「特別集中講座」というクラスを見学させていただきました。須原先生は最初に本日の流れをご説明なされただけで、すぐに下の教室へ向かわれました。このあと一体どうなることかと興味津津でしたが、生徒さん達は個々に黙々と学習しているではありませんか!誤解のないように申し上げますが、須原先生は生徒さん達を放っていらっしゃるわけではありません。生徒さん一人ひとりの自主性を完全に尊重されていらっしゃるだけなのです。このように子どもたちの学習に対する自主性を重んじ、学習内容の選択権を個々に与えることは、本人が学習に対して責任を負うことを意味し、このような学習を継続することで、自己の学習習慣や学習スタイルを省察したり、延いては、自律的な学習者へと導いていくものです。
教室での須原先生の役割は instructor (指導者)というより、facilitator(支援者)でありました。適宜、生徒さんに寄り添い、励ましやアドバイスを与えていらっしゃいます。生徒さんが勉強したいところを伝えると、即、問題が提供されていました(先生のパソコンには過去の入試問題から大手の問題集の練習問題まで実にたくさんの問題がインストールされており、一見の価値ありです!)。また、生徒さんと雑談されているお姿は、まさに fatherly/parental image(父親としての像)そのものでした。須原先生が生徒さんを自分のお子様のように愛し、また、生徒さんも先生に心から信頼をおいている様子を目の当たりにし、まさに「真の教育者」としての須原先生を感じ取ることができました。
須原先生は、ご自身の教室を「ここは、進学塾でも、補習塾でもありません。ここでは、子どもたちが自ら学習の意味を見出し、「分かった」という体験を積み重ねていくことを大事にしています。このことが、子どもたちを志望校へと誘うのです」とおっしゃっていました。このお言葉は、すべての子どもたちに潜在する「自己成長力」を信じて関わることの重要性を示唆するものです。
私は英語教育を専門としていますので、他教科のことはよく分かりませんが、「速読英単語」をひたすら英訳している、あるいは暗唱している生徒さんを拝見した時には、私が今教えている将来英語教員志望の大学生のどれくらいがこのタスクを達成できるだろうかとふと考えてみました。英語ができる子もそうでない子も「英語を話したい、英語が話せれば、かっこいい」という思いを抱いています。しかしながら、英語を話すためには相当のインプット量が必要となります。そのようなインプット量を確保するためには「速読英単語」は有効な教材だと思います。「速読英単語」のこのような活用法は、繰り返しを要する地道で退屈なものかもしれませんが、「確かな学力」の養成に通じることは間違いありません。将来、須原英数教室の子ども達が地球市民の一人として世界へはばたく時、きっとその恩恵を受けるはずです。
須原先生が強調なされていたことに、「国語力の育成」が挙げられます。思考の手段はやはり母語です。母語で表現できないことは、外国語ではさらに難しくなるはずです。こういった意味で、英語学習にもやはり国語力が必要となります。入試で英文和訳を採点するたびに、支離滅裂な日本語が多いことに失望させられます。自分が読んで分からない文章は他人が読んでも分からないのです。いくら英文の構造が理解できていても、その英文の内容を適確な日本語で表現できなければ印象が悪くなるのは当然です。和文英訳の場合にも当てはまります。難関大学の入試問題では、まずは日本語を解釈、分析することから始めなければいけません。小論文や面接にも確かな日本語力が要求されることは言うまでもありません。そのためにも、須原先生がおっしゃるように、新聞を読むことを習慣づけ、論理的思考力、批判的思考力を常に養っていくことが大切です。
須原英数教室では、高2の夏以降はクラスが無料で開講されています。しかも途中でティータイムもあります。この日は、女子生徒さんが皆のためにアイスキャンディーを持ってきていました。自己愛的傾向を示す子どもたちが多い昨今、また、経済的な変動が激しい昨今、須原先生のこのような教育実践は、他者の喜び、悲しみ、痛みをあたかも自身のこととして共感的に受け入れることができる「豊かな人間性」を持つ子どもたちの育成にもつながるものです。須原英数教室で学んだ子どもたちは、学力面の伸長にはもちろんのこと、情緒的な成長にもあずかっていると思います。
最後になりましたが、今回訪問の機会を与えてくださった須原先生に心から感謝するとともに、須原英数教室の益々のご発展と、須原先生ご夫妻のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

浪速中学校・高等学校 国語科 竹村志津子先生 来訪

国語教室『今解き教室』授業参観(2012.10.20)

 
須原秀和先生へ
 
先日は授業見学ありがとうございました。
「今解き教室」を実際に見せていただき、現在の日本をとりまく諸問題だけでなく、世界中に視野を広げることによって、生徒一人ひとりが「今」自分が「ここ」にいることを認識し、なすべきことを考えるという思考の過程を養うという点で、非常に有意義なテキストと時間だと感銘を受けました。この授業は高校でいう「現代社会」と通じるものがあるだけでなく、さらに5教科の各問題とリンクさせており、そのテーマの最新の天声人語の記事や漢字プリントもついているという中身の濃い教材であることに驚きました。
しかし私はそれ以上に、奥様の授業の質の高さと深さ、温かさに感動しました。
一つのことについての説明に対しても、さまざまな具体例等を用いて、生徒が横断的、総合的に考えを広げる手段を提示され、そのまま生徒の素養となっている場面を見ることができた喜びは計り知れません。それだけでなく、私は先日の須原先生の講演会といい、奥様の授業といい、やはり授業に対する、そして生徒一人ひとりに対する「真摯さ」というものが教育者として必要不可欠なものであると改めて痛感しました。今後の私の教師人生において、今回の先生と奥様との出会いは、一つの転機となったと思っております。私も日々、目の前に生徒に対して誠実に向き合っていきたいと思います。本当にありがとうございました。
 浪速高等学校中学校 国語科 竹村志津子

浪速中学校・高等学校 国語科 伊藤廉往先生 来訪

国語教室『今解き教室』授業参観(2012.10.20)

 
須原英数教室を訪問させていただいて
 
 
 この度は、朝日新聞の『今解き教室』という教材に興味を持ったことがきっかけで、奥様の国語教室を見学させていただきました。『今解き教室』の問題は科目横断的なものが多いと聞いていたので、どのような授業が展開されるのか非常に楽しみにして教室を訪問しました。
 
 今回の教材は『国際社会と日本の外交』を扱った問題だったので、国語と現代社会の授業をあわせてうけているような感覚でした。身近なことから世界的なことまで流れるような授業展開であっという間に90分が過ぎ、気がつけば自分も生徒の一人になってしまっていました。
 
 授業後、奥様に「全身で先生の話を聞いている生徒の姿に感心させられました。」というと、「モチベーションの高い生徒が来ていますから」とおっしゃられていました。確かに最初から意識の高い生徒であったと思いますが、その生徒が意識の高さを維持しているということは、それを保つ教育が行われている証明であろうと思いました。
 さらに、教室全体の意識の高さが他の生徒によい影響を与えているのを見て、もう一度クラス全体の雰囲気を作るところからやっていこうと思いました。
 また、「授業準備のためにテキストを読んでいて、私自身が学ぶことが多い」というお話や自身の体験も織り交ぜて解説している姿を見て、よりよい指導するためには自己の知識・教養をさらに養わなければならない、もっと多様な経験を積まねばならないと再認識しました。そして、生徒の興味・関心の幅を広げるには様々な方法でアプローチしなければならないとも思いました。
 
 今回の教室訪問・授業見学は、当たり前のことも含めて自分の指導方法を見直すいいきっかけになりました。そして須原先生ご夫妻の教育観に触れることができたことは、さらに教師として成長するいい機会になりました。
 
 最後になりましたが、この度訪問の機会を与えてくださったことを感謝するとともに、須原英数教室のご発展と須原先生ご夫妻のご健勝をお祈り申し上げます。
 
 
浪速高等学校 国語科 伊藤廉往
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